2017年10月6日金曜日

偽造医薬品の流通防止のための省令改正(2017年10月5日公布)

平成29年1月に発生したC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品流通事案を受け、偽造医薬品の流通防止のために対応を行うべき事項に関して所要の省令改正が2017年10月5日公布されました。

【省令改正の内容(ポイント)】
(1)  薬局開設者等に課される医薬品の譲受・譲渡時の記録事項として相手方の身元確認の方法、ロット番号、使用期限等を追加する。
(2)  同一の薬局開設者等が開設する複数の薬局間における医薬品の譲受・譲渡に係る取引について、業許可を受けた場所ごとに、取引に係る記録(品名、数量、ロット番号、使用期限等)及びその保存を行うことを明確化する。
(3)  製造販売業者により医薬品に施された封を開封して販売・授与する場合(調剤の場合を除く。)について、開封した者(薬局等)を明確にするため、その名称、住所等の表示を新たに求める。
(4)  薬局、店舗販売業者の店舗、卸売販売業者の営業所の構造設備の基準として、貯蔵設備を設ける区域が他の区域から明確に区別されていることを追加する。
(5)  薬局並びに店舗販売業及び卸売販売業の店舗における医薬品等の販売又は授与を行う体制の基準について、医薬品の貯蔵設備を設ける区域へ立ち入ることができる者を特定することを追加する。

【公布日及び施行日】
公布日:平成29年10月5日
施行日:平成30年1月31日。ただし、(1)及び(2)のうちロット番号及び使用期限に関する部分については、平成30年7月31日。

【参考】
■日本薬剤師会ウェブサイト:
薬局間における医療用医薬品の譲受・譲渡に関するガイドライン【概要版】
薬局間における医療用医薬品の譲受・譲渡に関するガイドライン





(1)  薬局開設者等に課される医薬品の譲受・譲渡時の記録事項として相手方の身元確認の方法、ロット番号、使用期限等を追加する。


医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則
(医薬品の購入等に関する記録)
第十四条
薬局開設者は、医薬品を購入し、又は譲り受けたとき及び薬局開設者、医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設(獣医療法(平成四年法律第四十六号)第二条第二項に規定する診療施設をいい、往診のみによつて獣医師に飼育動物の診療業務を行わせる者の住所を含む。以下同じ。)の開設者に販売し、又は授与したときは、次に掲げる事項(第二号及び第三号に掲げる事項にあつては、当該医薬品が医療用医薬品として厚生労働大臣が定める医薬品(以下「医療用医薬品」という。)(体外診断用医薬品を除く。)である場合に限る。)を書面に記載しなければならない。
一 品名
二 一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品の一群に付される番号(以下「ロツト番号」という。)(ロツトを構成しない医薬品については製造番号)
三 使用の期限
四 数量
五 購入若しくは譲受け又は販売若しくは授与の年月日
六 購入若しくは譲り受けた者又は販売若しくは授与した者(以下「購入者等」という。)の氏名又は名称、住所又は所在地及び電話番号その他の連絡先(次項ただし書の規定により同項に規定する確認を行わないこととされた場合にあつては、氏名又は名称以外の事項は、その記載を省略することができる。)
 前号に掲げる事項の内容を確認するために提示を受けた資料(次項ただし書の規定により同項に規定する確認を行わないこととされた場合を除く。)
 購入者等が自然人であり、かつ、購入者等以外の者が医薬品の取引の任に当たる場合及び購入者等が法人である場合にあつては、医薬品の取引の任に当たる自然人が、購入者等と雇用関係にあること又は購入者等から医薬品の取引に係る指示を受けたことを示す資料

 薬局開設者は、前項の規定に基づき書面に記載するに際し、購入者等から、薬局開設、医薬品の製造販売業、製造業若しくは販売業又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設の許可に係る許可証の写し(以下単に「許可証の写し」という。)その他の資料の提示を受けることで、購入者等の住所又は所在地、電話番号その他の連絡先を確認しなければならない。ただし、購入者等が当該薬局開設者と常時取引関係にある場合は、この限りではない。

 薬局開設者は、薬局医薬品、要指導医薬品又は第一類医薬品(以下この項において「薬局医薬品等」という。)を販売し、又は授与したとき(薬局開設者、医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者に販売し、又は授与したときを除く。第五項及び第六項並びに第百四十六条第三項、第五項及び第六項において同じ。)は、次に掲げる事項を書面に記載しなければならない。
一~五(略)
4~6(略)


(2)  同一の薬局開設者等が開設する複数の薬局間における医薬品の譲受・譲渡に係る取引について、業許可を受けた場所ごとに、取引に係る記録(品名、数量、ロット番号、使用期限等)及びその保存を行うことを明確化する。


医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則
第二百八十九条(新設)
法の規定により許可を受けて医薬品を業として販売又は授与する者(以下この条において「許可事業者」という。)が、二以上の許可を受けている場合であつて、当該者の保有する医薬品を当該二以上の許可のうちの一の許可に基づき業務を行う場所から他の許可に基づき業務を行う場所へ移転したときは、当該移転前及び移転後の場所において、それぞれ次に掲げる事項(第二号及び第三号に掲げる事項にあつては、該医薬品が医療用医薬品(体外診断用医薬品を除く。)である場合に限る。)を書面に記載なければならない。
 品名
 ロット番号(ロツトを構成しない医薬品については製造番号)
 使用の期限
 数量
 移転先及び移転元の場所並びに移転の年月日


許可事業者は、前項の書面を、法の規定により許可を受けて業務を行う場所ごとに、記載の日から三年間、保存しなければならない


(3)  製造販売業者により医薬品に施された封を開封して販売・授与する場合(調剤の場合を除く。)について、開封した者(薬局等)を明確にするため、その名称、住所等の表示を新たに求める。


医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則
(医薬品の直接の容器等の記載事項)
第二百十条
法第五十条第十五号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一~六 (略)
 分割販売される医薬品にあつては、分割販売を行う者の氏名又は名称並びに分割販売を行う薬局、店舗又は営業所の名称及び所在地


(4)  薬局、店舗販売業者の店舗、卸売販売業者の営業所の構造設備の基準として、貯蔵設備を設ける区域が他の区域から明確に区別されていることを追加する。


薬局等構造設備規則
第一条
薬局の構造設備の基準は、次のとおりとする。
一~八(略)
 貯蔵設備を設ける区域が、他の区域から明確に区別されていること。
十~十六(略)


(5)  薬局並びに店舗販売業及び卸売販売業の店舗における医薬品等の販売又は授与を行う体制の基準について、医薬品の貯蔵設備を設ける区域へ立ち入ることができる者を特定することを追加する。

薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令
第一条 
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「法」という。)第五条第二号の規定に基づく厚生労働省令で定める薬局において調剤及び調剤された薬剤又は医薬品の販売又は授与の業務を行う体制の基準は、次に掲げる基準とする。

(略)

前項第十五号から第十七号までに掲げる薬局開設者が講じなければらない措置には、次に掲げる事項を含むものとする。
 医薬品の使用に係る安全な管理(以下「医薬品の安全使用」という。)のための責任者の設置
 従事者から薬局開設者への事故報告の体制の整備
 医薬品の貯蔵設備を設ける区域に立ち入ることができる者の特定
 医薬品の安全使用並びに調剤された薬剤及び医薬品の情報提供のための業務に関する手順書の作成及び当該手順書に基づく業務の実施
 調剤及び医薬品の販売又は授与の業務に係る適正な管理のための業務に関する手順書の作成及び当該手順書に基づく業務の実施
 薬剤師不在時間がある薬局にあつては、薬剤師不在時間における薬局の適正な管理のための業務に関する手順書の作成及び当該手順書に基づく業務の実施
 医薬品の安全使用並びに調剤された薬剤及び医薬品の情報提供及び指導のために必要となる情報の収集その他調剤の業務に係る医療の安全及び適正な管理並びに医薬品の販売又は授与の業務に係る適正な管理の確保を目的とした改善のための方策の実施