2017年7月20日木曜日

セロイク 注射用 40販売中止と代替品


セロイク 注射用 40が販売中止となるようです。
経過措置期間2017 年 11 月~2018 年 3 月(予定)


「セロイク 注射用 40」販売中止について(武田薬品工業)
https://www.takedamed.com/content/medicine/newsdoc/sero170623.pdf

セロイクは血管肉腫に有用性が認められ、1992年3月に承認を得た遺伝子組換え型ヒトインターロイキン− 2(IL-2)製剤です。
IL-2製剤は抗原特異的キラー T細胞、ナチュラルキラー細胞、リンホカイン活性化キラー細胞などの抗原非特異的キラー細胞の活性化や増殖促進等によって抗腫瘍作用を示すと考えられています。

IL-2は 1976年に Morganらによって、フィトヘマグルチニン刺激ヒト末梢血リンパ球培養上清中に存在する因子として発見されました。
武田薬品はヒト白血球を材料に、IL- 2 cDNAのクローニング、大腸菌での発現に成功するとともに、1984年に精製遺伝子組換えインターロイキン− 2(rIL− 2)の量産に成功し、ヒト白血球から精製したIL- 2とrIL-2が同程度の生物学的活性を示すことを確認しました。

日本にはもう1つ遺伝子組換え型IL-2製剤があります。
塩野義製薬のイムネース〔一般名:テセロイキン(遺伝子組換え)〕です。
イムネースはセロイクと同時期に同様に血管肉腫を適応として製造承認を取得したのですが、その後に腎癌の適応を追加し、ネクサバールなどの分子標的薬が現れるまで市場を牽引していました。そのおかげで、IL-2製剤ではセロイクよりイムネースのほうがネームバリューがあります。

そのためなのか、おそらく売上が悪く販売中止となってしまったのでしょう。
海外で認められている悪性黒色腫の適応追加も、分子標的薬の台頭で夢と消えてしまいました。医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議にあげられていたのですがねぇ。


セロイクの代替品


同じIL-2製剤のイムネースが代替品です。
用量が異なるので、切り替えの際は注意が必要です。

また、他の薬剤では
パクリタキセル製剤に『血管肉腫』の適応があります。