2017年5月30日火曜日

吸入ステロイド喘息治療剤アニュイティ エリプタ


アニュイティはフルチカゾンフランカルボン酸エステルを有効成分とする副腎皮質ステロイド吸入薬です。

2017年3月に承認され、2017年5月31日薬価収載されました。

フルチカゾンフランカルボン酸エステルというは、すでに他の薬の有効成分として使用されています。
アレルギー性鼻炎治療薬の『アラミスト点鼻液』や喘息・COPD治療剤のレルベア 100 エリプタがあります。

アニュイティは言わば、レルベアの片割れのような存在です。

気管支喘息の治療では気管支局所の炎症を制御し発作の発現を予防することが重要で、吸入ステロイド薬は長期管理薬の第一選択薬と位置付けられています。
また、重症度に応じて、長時間作動型 β2 刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン、長時間作用性抗コリン薬、経口ステロイド薬、抗 IgE 抗体等を併用することとされています。
喘息症状のコントロール状態を参考に、吸入ステロイド薬投与量の増減又は併用薬剤の追加・中止といった、いわゆる薬物治療のステップアップ及びステップダウンを検討することとされています。

アニュイティの位置づけとしてはレルベアからのステップダウン、または軽症喘息の導入療法が考えられます。


吸入デバイス エリプタ


アニュイティの吸入デバイスにはレルベアやアノーロ、エンクラッセと同じエリプタが採用されています。
エリプタの特徴は、吸入口のカバーを開けるだけで、1回分の薬剤が充填されるため、レバー操作などの操作ステップがないため簡便な操作で吸入できることです。
出典:アニュイティ インタビューフォーム


アニュイティに適した患者像


喘息治療では症状のコントロール状況に合わせて吸入ステロイド薬の用量調節がなされます。アニュイティの適切な使用対象患者像を考えてみたいと思います。

軽症持続型から中等症持続型相当の患者を対象として実施された臨床試験において、アニュイティ100 µg はプラセボと比較して症状が有意に改善しました。
このことからアニュイティ100 µgは軽症持続型から中等症持続型に相当する患者に使用することが適切と考えられます。

重症持続型相当の患者を対象として実施された臨床試験においてアニュイティ200 µg は フルタイド500 µg(日本未承認) 1 日 2 回投与と同程度の有効性を示しました。
このことからアニュイティ200 µgは高用量の吸入ステロイドやアドエア250による前治療でコントロール不十分な重症持続型に相当する患者に使用することが適切と考えられます。

また、レルベア100エリプタにより喘息症状がコントロールされた患者を対象に、レルベアからアニュイティ100 µgへ切り替えた際の有効性及び安全性が臨床試験で確認されています。
このことからアニュイティ100 µgはレルベア100エリプタからのステップダウン時の治療薬として用いることも可能と考えられます。



アニュイティからステップダウンの方法


アニュイティ100 µg の効力は、フルタイド250 µg (日本未承認)1 日 2 回投与の効力に対応していると考えられています。
アニュイティ100 µgで喘息症状がコントロールされた患者に対してステップダウンを行う場合、投与を急に中止するとコントロール不良に陥る可能性があります。

ステップダウンに際しては、フルタイド100などの低用量の吸入ステロイド薬への切替えを考慮するとともに患者の状態を慎重に観察する必要があります。



アニュイティ 100 μg エリプタ
アニュイティ 200 μg エリプタ
[効能又は効果]
気管支喘息
[用法及び用量]
通常、成人にはアニュイティ 100 μg エリプタ 1 吸入(フルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100 μg)を 1 日 1 回吸入投与する。
なお、症状に応じてアニュイティ 200 μg エリプタ 1 吸入(フルチカゾンフランカルボン酸エステルとして 200 μg)を 1 日 1 回吸入投与する。