ADHD治療薬 インチュニブ(グアンファシン)



インチュニブ(グアンファシン)は2017年3月に承認されたADHDの治療薬です。

グアンファシンは2005年まで『エスタリック』という商品名で降圧薬として日本では使用されていました。

既存の薬であるコンサータやストラテラとは作用機序が異なる新しいタイプの治療薬です。

ADHDとは


ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder:注意欠如・多動症)とは、年齢や発達に不つりあいな不注意さや衝動性、多動性を特徴とする発達障害で、日常活動や学習に支障をきたす状態をいいます。

これらの症状のあらわれ方は人によってさまざまですが、そのあらわれ方の違いから「不注意が目立つ状態」、「多動性・衝動性が目立つ状態」、「混合した状態」の3つに分けられます。

ADHDには生まれつきの脳の発達の偏りが関係していると考えられており、育て方やしつけによって起こるものではありません。ADHDの症状が強くて社会的生活を送るのが難しい子どもたちには、その子の発達特性にあった正しいサポートが必要です。ADHDの特性を理解しないままに、ただしつけを厳しくしても、症状を改善することはできません。
治療的対応法には「教育・療育的支援(環境調整、ペアレント・トレーニング、ソーシャルスキル・トレーニングなど)」と「薬による治療」があります。

参考:https://adhd.co.jp/


インチュニブの作用機序


健康な人に比べてADHDの患者さんの脳の前頭前野皮質(PFC)は小児期の成熟の遅れや神経活動の低下を示しているといわれています。
インチュニブの成分であるグアンファシンは、前頭前野皮質におけるα2A-アドレナリン作動性受容体を刺激することによってADHDに対する効果を発揮していると考えられています。

しかし、α2A-アドレナリン作動性受容体を刺激することがADHDの症状に対してどのようなメカニズムで改善しているのか詳しいいことは分かっていません

いくつかの仮説のうち一つを紹介します。

シナプス後細胞内のcAMP産生が高まっている状態の時、HCNチャネルの開口頻度が増え、信号がそこで減衰されてしまい情報の伝達がうまくいきません。

グアンファシンによってα2A-アドレナリン作動性受容体が刺激されると、cAMPの産生が抑えられHCNチャネルが閉じ、情報の伝達がスムースに行くよう調節されると考えられています。



インチュニブの心血管系への影響


インチュニブの成分であるグアンファシンは血圧を下げる作用があることから心血管系への影響(高度な徐脈,低血圧,QT延長等)があらわれる可能性があります。

これらのリスクを回避するため、
投与を始める前に心電図検査を行います。
結果を確認して、心電図に異常が認められたり、心血管系リスクがあると判断されれば定期的に心電図検査が実施され、状態を慎重に観察しながらとうよされることとなります。
また、高リスクな患者さん以外においても、心血管系への影響が認められた場合には、心電図検査が実施されます。


インチュニブは急にやめてはダメ


同じADHD治療薬のコンサータは、副作用である睡眠障害、食欲減退そして成長抑制を軽減したり、薬の効果を確認したりすることを目的として、週末や学校の長期休暇の時期に休薬が勧められることがあります。

しかし、インチュニブでは急激に減量又は中止した場合には血圧が跳ね上がったり頻脈が認められる可能性があるので、勝手な判断で薬をのむことを中止してはいけません。

中止・休薬する場合には原則として3日間以上の間隔をあけて1mgずつ,血圧及び脈拍数を測定するなど状態を十分に観察しながら徐々に減量を行っていきます。




インチュニブ錠1mg/インチュニブ錠3mg

[用法及び用量]
通常、体重 50 kg 未満の小児ではグアンファシンとして 1 日 1 mg、体重 50 kg以上の小児ではグアンファシンとして 1 日 2 mg より投与を開始し、1 週間以上の間隔をあけて 1 mg ずつ、下表の維持用量まで増量する。なお、症状により適宜増減するが、下表の最高用量を超えないこととし、いずれも 1 日 1 回経口投与すること。




参考:
Mode of action|Shire
http://adhd-institute.com/disease-management/pharmacological-therapy/mode-of-action/