2017年3月20日月曜日

ヤーズフレックス配合錠とヤーズ配合錠のちがい


ヤーズフレックス配合錠は、黄体ホルモンのドロスピレノン3 mgと卵胞ホルモンのエチニルエストラジオールベータデクス 0.020 mg を1錠に配合した超低用量エストロゲン・プロゲステロン(LEP)配合剤です。この錠剤28 錠を 1 シートにパッケージングして製剤化しています。
2010 年 7 月に承認されたヤーズ配合錠の実薬錠と同一製剤です。

ちがい1. 投与日数が違う

月経困難症は、月経期間中に月経に随伴して起こる病的症状と定義され、主な症状は月経痛です。日本では、ヤーズ配合錠とルナベル配合錠(LEP 配合剤)が「月経困難症」の効能・効果で、28 日間(うち 4 又は 7 日間休薬)を 1 周期とする用法・用量で承認されています。

「28 日周期処方」の場合は,休薬により月1 回の周期的な消退出血が認められます。しかし、子宮内膜症及び月経困難症の主な自覚症状である疼痛の程度は月経(消退出血)時に高いことが知られています。

ヤーズフレックス配合錠は最長 124 日間(うち 4 日間休薬)を 1 周期とする用法・用量で承認されています。
ヤーズフレックス配合錠は休薬による消退出血の頻度を減らすことが可能となることに加え、出血発現時に休薬期間を設けることで出血/点状出血の管理を簡単にてその頻度を軽減できると期待されています。



【用法・用量】
ヤーズフレックス配合錠
1 日 1 錠を経口投与する.24 日目までは出血の有無にかかわらず連続投与する.25 日目以降に 3 日間連続で出血(点状出血を含む)が認められた場合,又は,連続投与が 120 日に達した場合は,4 日間休薬する.休薬後は出血が終わっているか続いているかにかかわらず,連続投与を開始する.以後同様に連続投与と休薬を繰り返す.


ヤーズ配合錠
1 日 1 錠を毎日一定の時刻に定められた順に従って(淡赤色錠から開始する)28 日間連続経口投与する.以上 28 日間を投与 1 周期とし,出血が終わっているか続いているかにかかわらず,29 日目から次の周期の錠剤を投与し,以後同様に繰り返す.


生活様式や好みに応じて使い分けを


ヤーズフレックス配合錠では服用25日以降に3日連続で出血が認められた場合4日間休薬となります。しかし、この休薬のきっかけとなる破綻出血の発現時期が予測しにくいことがデメリットになります。
患者さんの中には予定しない出血(破綻出血及びそれに続く休薬時の消退出血)が受け入れ難い患者さんや1カ月に1度の定期的な月経がくるほうが、予定も立てやすいという方もいるでしょう。
そのような方は、ヤーズ配合錠のような既存のLEP製剤を使用し、出血時期は気にしないし、できるだけ月経痛や出血を減らしたいという方にはヤーズフレックス配合錠が勧められます。


ちがい2. 子宮内膜症の疼痛にも使える

ヤーズ配合錠の適応は「月経困難症」のみでしたが、ヤーズフレックス配合錠は「子宮内膜症に伴う疼痛の改善」に対する効果も承認されています。

子宮内膜症とは、子宮内膜又はその類似組織が子宮以外の場所に発生することで生じる疾患で、主な症状は、月経痛、月経時以外の下腹部痛、腰痛、性交痛等の疼痛です。子宮内膜症に対する薬物治療は主として子宮内膜症に伴う疼痛の改善を目的として行われてます。卵巣機能抑制及び子宮内膜増殖抑制作用を有する LEP 配合剤が選択肢の一つとされていましたが、今まで日本には子宮内膜症に対する効能・効果で承認を有している LEP 配合剤はありませんでした。
そこで登場したのが、ヤーズフレックス配合錠なのです。

子宮内膜症治療薬として日本で一番使われているジエノゲストとヤーズフレックス配合錠との性器出血の発現状況を比較した試験が行われています。その結果、ヤーズフレックス配合錠はジエノゲストに比べ投与初期における出血(点状出血を含む)の日数が少なく、出血期間も短く、個々の患者における出血期間のばらつきが小さいことがわかりました。
この結果からヤーズフレックス配合錠投与時の性器出血は管理が容易であると考えられます。
しかし有効性については、主要評価項目である最も高度な骨盤痛のベースラインからの VAS の変化量(痛みの改善度)はヤーズフレックス配合錠群でジエノゲスト群よりも小さいものとなりました※。
一方で月経時又は消退出血時以外の骨盤痛等、消退出血の影響を受けにくい疼痛関連の副次評価項目については同程度の改善が認められています。

※この結果ついては、ヤーズフレックスは休薬時の消退出血の発現が前提となっており、消退出血が起こらないジエノゲストと消退出血で痛みが増強する骨盤痛を比べることに無理があるのではないかと思われます。


まとめ

ヤーズフレックス配合錠とヤーズ配合錠のちがい

有効成分は同じ
黄体ホルモンのドロスピレノン
卵胞ホルモンのエチニルエストラジオールベータデクス

用法は同じ
1日1回

投与日数が違う
ヤーズフレックス
最大124日(実薬:25~120日間 休薬:4日間)

ヤーズ配合錠
28日(実薬:24日間 プラセボ:4日間)

適応が違う
ヤーズフレックス
子宮内膜症に伴う疼痛の改善、月経困難症

ヤーズ配合錠
月経困難症