2017年1月9日月曜日

胃ろう投与の栄養剤を固形化することで下痢を減らせる


経口摂取が不十分もしくは困難な患者に対し、胃ろうを造り、経腸栄養剤を投与する栄養管理が行われています。

しかし、胃食道逆流や下痢、瘻孔からの栄養剤漏れ(栄養剤リーク)の原因になる等の問題が生じ、投与する側の負担となっています。これは経腸栄養剤は液体で流動性が高いために起こるものと考えられています。

これらの問題を防ぐための方法の一つとして最近注目を集めているのが、栄養剤を固形化して胃ろうから注入する方法です。

栄養剤を固形化することにより流動性が低下するので、胃食道逆流が減少し、嘔吐や誤嚥性肺炎の発症を減らすことができるといわれています。
また、栄養剤の胃内停滞時間が延長することにより下痢が改善し、瘻孔の通過性低下により栄養剤漏れも減少するといわれています。
さらに、栄養剤の注入時間も短縮できることから、患者本人と介護者への負担も軽減され、注入中の長時間にわたる座位保持が不要になり褥瘡症例の病変悪化が防止できるともいわれています。

栄養剤の固形化には、寒天や流動食用半固形化補助食品等を用いた方法や、既に粘度調整された半固形栄養剤が使用される等、それぞれの特徴から患者個々に合った方法が選択されています。

一部の経腸栄養剤では、メーカーより固形化剤が無償提供されています。


  • アミノレバンEN配合散

ゼリーの素(大塚製薬)

  • エレンタール配合内用剤、同P乳幼児用配合内用剤、ヘパンED配合内用剤

ゼリーミックス、ムースベース(味の素) 


オススメは寒天による固形化


栄養剤の固形化に用いられる固形化剤の必要条件は、「安い」、「硬度調節が簡単」、「低カロリー」、「ネバネバしない」、「体温で溶けない」等です。
寒天は、これらの条件を満たし、特にネバネバせず、つるんとしているので注入時の抵抗が小さく、また、室温で固まり胃内で溶けにくい(凝固点33~45℃、融点85~93℃)という点から最も適していると言われています。


寒天を使った調整法(ふきあげ内科胃腸科クリニック)
http://www.fukiage-clinic.com/peg/ronbun/kokeika/k_chouri/k_chouri.htm


市販の流動食用半固形化補助食品の一例


イージーゲル(大塚製薬工場)




ソフティア iG (ニュートリー)




つるりんこ 牛乳・流動食用(クリニコ)