リンゼス錠は一包化してはいけません



リンゼス錠は2016年12月に承認された便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)治療薬です。いわゆる便秘薬に該当します。

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)は、感染症や血が出ているわけでもなく、原因不明の腹痛・腹部不快感と便通異常のことです。それら消化器症状が長期間持続もしくは再発・改善を繰り返す機能性消化管疾患のことです。
また、IBS は特定の時点の便形状に基づいて、4 つのタイプ[便秘型 IBS(IBS-C)、下
痢型 IBS(IBS-D)、混合型 IBS(IBS-M)及び分類不能型 IBS(IBS-U)]に分類されます。
IBS で死んでしまうということはありませんが、その症状により行動が制限されることで社会的活動に支障を来し、QOL が著しく低下することがあります。

Longstreth GF et al.:Gastroenterol 2006;130:1480-149
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16678561

一般成人を対象としたインターネット調査では、日本人のIBS の有病率は約13%であるといわれています。
健康診断受診者を対象とした調査報告から、成人の日本人におけるそれぞれのIBS有病率を算出すると、IBS-C が約 2.9%、IBS-D が約 3.8%、IBS-M が約 3.3%及び IBS-U が約 3.6%でした。
このように IBS は頻度の高い疾患でありながら国内では IBS-C に対する効能・効果を有する薬剤がありませんでした。そこで有効性や安全性に優れ、かつ長期使用が可能な、IBS-C に対する効能・効果を有する薬剤の開発が望まれていたのです。

Kubo M et al.:Neurogastroenterol Motil 2011;23:249-254
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21122032


リンゼス錠の特徴


リンゼス錠の作用機序


リンゼス錠の成分はリナクロチドといいます。
リナクロチドはグアニル酸シクラーゼC(GC-C) 受容体に高い親和性を示す GC-C 受容体作動薬です。小腸腸管内のGC-C 受容体を活性化することにより、細胞内のサイクリック GMP(cGMP)濃度を増加させ、腸管分泌及び腸管輸送能を促進するとともに、大腸痛覚過敏を抑制します。

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効果がでるのは、飲んで1日以内


国内第Ⅲ相試験において、初回投与開始 24 時間以内に自然排便があった被験者の割合は、
プラセボ群 45.8%、リンゼス錠 0.5mg 群 72.3%でした。10人に7人は投与されて1日以内に排便していることになります。

さらに、1年間飲み続けていても効果の減弱や特筆すべき遅発性の有害事象が認められませんでした。1年間で多く確認された有害事象は下痢(13%)でした。そのほとんどが軽度なものです。


リナクロチドは吸収されないので全身曝露が少ない


薬物動態を検討した国内臨床試験において、リナクロチドの未変化体や主要代謝物の血漿中濃度は、投与量及び投与期間によらずリナクロチドを投与されたすべての被験者で定量下限未満でした。つまり、リナクロチドは吸収されず、腸管の中でのみ作用していることがわかります。
吸収されないということは、肝臓や腎臓に負担がかかりません。


リンゼス錠は一包化してはいけません


リンゼス錠は非常に湿度に弱い製剤です。
無包装状態で25℃75%RHの条件で保存した場合1 日後に規格を逸脱する顕著な類縁物質の増加が認められました。高湿度により分解していることがわかります。

そのため製剤は防湿及び乾燥機能を有するアルミ包装により品質保持が図られています。
無包装状態、あるいは別容器に移しての保存はしてはいけません。
服用直前に錠剤を取り出すことを遵守しましょう。

一包化の必要な高齢者には不向きな薬と言えるでしょう。
(IBS-C自体は若い人が多い疾患なので、どの程度問題となるかは不明です)



リンゼス錠 0.25mg

[効能又は効果]
便秘型過敏性腸症候群
<効能・効果に関連する使用上の注意>
便秘型過敏性腸症候群治療の基本である食事指導及び生活指導を行った上で、症状の改善が得られない患者に対して、本剤の適用を考慮すること。

[用法及び用量]
通常、成人にはリナクロチドとして 0.5mg(2錠) を 1 日 1 回、食前に経口投与する。
なお、症状により 0.25mg(1錠) に減量する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
重度の下痢があらわれるおそれがあるので、症状の経過を十分に観察し、本剤を漫然と投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の必要性を検討すること。