各種ループ利尿薬のちがいと等価換算


フロセミド40mg

≒アゾセミド60mg

≒トラセミド8mg


ループ利尿薬は強力な利尿効果を持つため、うっ血性心不全の治療によく使用されます。
古くからある薬で、エビデンスも少ないのですがそれぞれのループ利尿薬のちがいが注目されています。

一般名
フロセミド

アゾセミド

トラセミド
商品名

ラシックス

ダイアート

ルプラック
常用量

40~80mg

60mg

4~8mg
作用時間

約6時間

約12時間

約8時間
心性浮腫
(うっ血性心不全)
腎性浮腫
肝性浮腫



高血圧


月経前緊張症
末梢血管障害による浮腫
尿路結石排出促進





ループ利尿薬はレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系や交感神経系を活性化しすることがあります。
これが予後の悪化につながります。
そのため、基本的にはうっ血状態をコントロールできる最小限の用量を用いるようにするのが好ましいと言われています。
そのため、用量の調節はシビアで、常用量の半量で使用されることも多く見受けられます。

重症例では倍量投与されることもあります。


等価量は上記のとおりですが、個人差もあるので、切り替えの際は注意深く観察する必要があります。

使用量が多すぎると、血管内脱水になり腎機能低下を招いてしまいます。
そのため、むくみなどのうっ血症状などの効果にのみとらわれるのではなく、口腔内乾燥の有無を聴取するなど副作用発現も考慮して用量を調節する必要があります。

トラセミドは抗アルドステロン作用があるため、低カリウム血症の発現頻度が低いのが特徴です。
しかし、最近ではアルドステロン拮抗薬のエビデンスが出てきているので、トラセミド使用の意義はなくなってきています。


ループ利尿薬比較試験 J-MELODIC試験

出典:三和科学

NYHAⅡ~Ⅲ度の慢性心不全320人をフロセミド群とアゾセミド群にランダムに割り付け予後を観察した試験です。

その結果は、心不全悪化による入院や心血管死がアゾセミド群で有意に少なかったというものでした。

アゾセミドのほうがフロセミドに比べ神経体液性因子の活性化が少ないことが予後の改善につながったと考えられています。


Masuyama T, et al:Superiority of Long-Acting to Short-Acting Loop Diuretics in the Treatment of Congestive Heart Failure– The J-MELODIC Study – Circ J 2012;76(4): 833-842.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/76/4/76_CJ-11-1500/_pdf


高血圧とループ利尿薬


Naの排泄促進することは血圧を低下させるために有効ですが、ループ利尿薬は利尿効果が強い割には降圧効果が弱いため通常使用されません。

第一選択として使用される利尿薬はサイアザイド系利尿薬です。

しかし、サイアザイド系利尿薬はeGFR30以下に腎機能が低下した高血圧患者に対しては無効です。そのため代わりにループ利尿薬を用います。
透析患者さんによく使われているというイメージです。


サイアザイド系利尿薬には腎保護作用や心血管病を予防したというエビデンスが豊富にありますが、ループ利尿薬にはありません。
腎機能の保たれた本態性高血圧治療の第一選択薬はサイアザイド利尿薬です。