糖尿病の薬を飲んでいると心臓カテーテル検査はできないの?


患者さん「○○病院で心臓の検査してもらう時、エクメットっていうお薬飲んでいること伝えたら、検査できないといわれて延期になっちゃたたんだけど。なんでかしら」



3年前に心筋梗塞を患い、ステント手術をされた患者さん。今は、安定しており定期的にカテーテル検査をされているとのことでした。

今までに何度も検査を受けてきて、そのときも糖尿病薬は飲んでいたのになぜなのか、不思議だとおっしゃいました。

おくすり手帳を拝見すると、他の薬局で調剤されいる糖尿病の薬がエクアからエクメット配合錠に変更されていました。



エクメット配合錠は、エクアとメトホルミン(メトグルコ)の2つの薬を1つにしたものです。



ビグアナイド系糖尿病薬を服用している患者へのヨード造影剤投与は,乳酸アシドーシスのリスクを増加させる


メトホルミンに代表されるビグアナイド系糖尿病薬による最も重篤な副作用に、乳酸アシドーシスというものがあります。

発症することは極めて稀ですがいったん発症すると致死率が高い副作用です。

乳酸アシドーシスをきたしやすい病態のひとつは、腎機能障害です。


メトホルミンは腎臓から排泄される薬ですので,腎機能が低下すると血中濃度も高くなる可能性があります。


心臓カテーテル検査などでヨード造影剤を投与することにより一過性に腎機能が低下する場合があります。そのとき、メトホルミンを服用しているとメトホルミンの腎排泄が減少してしまい、乳酸アシドーシスを起こす危険性があります。


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添付文書の使用上の注意にも記載が


ビグアナイド系糖尿病薬の添付文書の「重要な基本的注意」には、

ヨード造影剤を用いて検査を行う患者においては、本剤の併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので,検査前は本剤の投与を一時的に中止する(ただし,緊急に検査を行う必要がある場合を除く).ヨード造影剤投与後 48 時間は本剤の投与を再開しない.なお,投与再開時には,患者の状態に注意する

と記載されています。


また、「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」の作成による「ビグアナイド薬の適正使用に関する Recommendation(2012年2月1日)」において、乳酸アシドーシスの症例に認められた特徴の 1 つに腎機能障害患者があり、recommendation のなかでヨード造影剤の併用による腎機能障害の急性増悪がとりあげられ、注意喚起がなされています。


通常の腎機能が正常である場合、休薬せず検査も。


ヨーロッパのガイドラインでは腎機能が正常である場合,ヨード造影剤を用いた検査の前にビグアナイド系糖尿病薬の休薬を勧めるものはほとんどありません。


これを根拠に、ビグアナイド薬を服用していても休薬するすることなしに検査を行う施設があるそうです。


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狭心症や心筋梗塞などで冠動脈ステント手術歴がある患者さんの処方にメトホルミンがあるときには、心カテ検査の予定の有無を聞き取りましょう。

冠動脈ステント手術歴は、アスピリンやプラビックスの処方で。