2016年2月8日月曜日

ニコチンパッチを透析患者さんが使っても良いか


維持透析患者さんでは心血管疾患や感染症のリスクが高いことが知られています。


喫煙は心血管疾患や慢性肺疾患,悪性腫瘍などに関連する危険因子です。


そのため、透析患者さんに対する禁煙支援の役割は大きいと言えます。



禁煙を成功させるために禁煙補助薬を使用される場合がありますが、透析患者さんに使用してもよいのでしょうか?


日本における禁煙ガイドラインで推奨される第一選択治療薬にはチャンピックス(バレニクリン)とニコチン代替療法(ニコチンガムとニコチンパッチ)があります。



チャンピックス

チャンピックスは2008年1月に承認された日本初の経口禁煙補助薬です。

チャンピックスはニコチンを含まず、脳内のα4β2ニコチン受容体に結合し、部分作動薬(アゴニスト)として作用することによって、禁煙に伴う離脱症状やタバコへの切望感を軽減します。


禁煙成功率も高く良い薬なのですが、『統合失調症,双極性障害,うつ病等の精神疾患のある患

者,重度の腎機能障害のある患者および血液透析を受けている患者には慎重に投与する』とされています。


透析患者さんの用法用量は0.5mgを1日1回に減量ですが、透析性はないので万が一を考えると透析患者さんには少し使いにくいといえます。



ニコチン代替療法(ニコチンガムとニコチンパッチ)

ニコチンを皮膚や口腔粘膜から持続的に吸収することによってニコチン離脱症状を緩和し、喫煙欲求を抑制します。


ニコチン患者さんの用法用量は健常者と同じです。


ニコチンは肝臓で代謝されます。ニコチンは透析性はありませんが代謝産物は透析で除去されるので透析患者さんでも問題になりません。


頭痛、動悸、不眠、イライラ感、嘔吐、下痢、けいれんなどのニコチン過剰が疑われる症状が出た場合減量するなど考慮が必要です。



http://www.jsn.or.jp/ckd/pdf/CKD03.pdf

http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010murohara.h.pdf