高濃度ランタス ランタスXR注ソロスター


インスリン グラルギン(遺伝子組換え)は、2003年10月に日本で承認された持効型インスリンアナログです。

「ランタス注」やバイオ後続品の「インスリングラルギンBS 注 」が販売されています。


持効型インスリンとは


本来人間には2つのインスリン分泌のパターンがあります。

ひとつは24時間続けて分泌する基礎インスリン(Basalインスリン)で、もうひとつは毎食後に分泌される、追加インスリンと呼ばれるタイプのインスリンです。


インスリン治療では、正常な人のインスリンの体内分泌を再現することが理想であると考えられています。

空腹時や毎食後の血糖値がコントロールできない場合、1日1~2回のBasalインスリンと、1日3回食事の前に追加インスリンを打つ方法です。


よくわかるインスリン(サノフィ) http://www.dm-town.com/insulin/start/kind/merit.html

Basalインスリンとして、持効性をもつインスリン グラルギンが使用されます。


また、持効性をもつ他の薬剤に、インスリン デテミル(レベミル注)、インスリン デグルデク(トレシーバ注)もあります。


日本では、低血糖発現に対するおそれや、インスリン療法が医師の指示どおりに実施されないこと等により、インスリン療法中の多くの患者で治療目標を達成できていないことが問題となっています。


1 日 1 回の投与で確実に Basalインスリンが補填できて、血糖値の日内変動が小さく、低血糖の発現リスクが低い Basal インスリンの誕生が望まれていました。


また、Basal インスリンを高用量必要とする患者さんは、現在日本で用いられている持効型インスリンアナログ製剤の 1 日 1回投与による治療では 1 日に必要な Basal インスリン量を十分に補充できず、1 日 2 回投与を必要とする場合がありました。


1 日 2 回に分割することなく少ない注射液量で同じ単位を投与できる製剤の登場が望まれていました。




インスリン グラルギンの持効性の仕組み。

ランタスXR注製品情報概要 改変

インスリン グラルギンは、生理的 pH では溶解度が低いです。


そのため、酸性注射液中では完全に溶解していますが、皮下注射後に無晶性沈殿物が形成されます。


この無晶性沈殿物から持続的に薬剤が放出されることで持効性をもつのです。



ランタスXRとランタスの違い

出典:ランタスXR注製品情報概要


ランタスXR注は、ランタス注(100 単位/mL)に対して、インスリン グラルギンの製剤中濃度を 300 単位/mL に高めた持効型インスリンアナログです。


注射液量を少なくすることで、皮下の無晶性沈殿物の単位量あたりの表面積が小さくなり、投与部位からのインスリン グラルギンの吸収がより緩徐になります。


これにより、ランタス注と比較してより平坦かつ持続的な薬物動態及び血糖降下作用を示すとともに、低血糖リスクの低減が期待できます。




ランタスXR注は、既存の持効型インスリンアナログ製剤であるランタス(100 単位/mL)と比較してインスリン グラルギンの製剤中濃度を高めた製剤(300 単位/mL)です。


投与部位からのインスリン グラルギンの吸収がより穏やかになることで、平坦かつ持続的な薬物動態と血糖降下作用を示すと考えられています。


1 型及び 2 型糖尿病患者を対象とした臨床試験の結果から、ランタスXR注の 1 日 1 回投与における有効性及び安全性はランタス注と同等でした。


また、低血糖発現リスクはランタスと比較して低い傾向が認められました。


しかし、インスリン投与量はランタスと比較してランタスXR注群で大きく増加していました。

この増加は、ランタスXR投与におけるインスリングラルギンの血中濃度の上昇が、ランタスに比べ緩やかになる、つまりベースのインスリン濃度が低いところで平坦に安定的に持続するためと考えられます。



臨床試験においてランタス群よりインスリン投与量は多くなりましたが、注射部位反応、過敏反応及び免疫原性の有害事象の発現状況については同程度で、低血糖及び体重増加のリスクを増大させる傾向は認められませんでした。



ランタスXR注は 1 日1回投与で Basal インスリン量を補充でき、低血糖の発現が少なく、投与タイミングをより柔軟に設定できる製剤です。



よって、低血糖リスクの回避等を目的として、新たにBasal インスリンを開始する場合はランタスXR注の使用が推奨されます。


また、ランタスをすでに使用している場合はランタスXR注への切替えを考慮することが有用であると考えることもできます。。


ただし、ランタスは日本における豊富な使用経験があり、有効性及び安全性が確立していること、ランタスによって低血糖を起こすことなく十分に血糖コントロールされている場合もあるので個々の患者の状態に応じた治療選択肢の一つとして医師の判断により使い分けられることになるでしょう。



ランタスXR注は専用インスリンペン型注入器と組み合わせたプレフィルドシリンジ製剤としてのみ発売です。


したがって他のインスリン製剤の注入器との互換利用は想定されません。


さらに、バイアルや、カートリッジ製剤の発売もありません。