2015年8月5日水曜日

亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏の違い


主薬である酸化亜鉛(亜鉛華)の含有量の違いと勘違いされやすいですが、酸化亜鉛の含有量については、亜鉛華軟膏には日本薬局方収載品なので20%という決まりがありますが、亜鉛華単軟膏は20%(サトウザルベ軟膏 20%)と10%の製品があり含有量に決まりはありません。


では

亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏のおおきな違いはなにかというと、軟膏の基剤です。


亜鉛華軟膏は白色軟膏。

亜鉛華単軟膏は単軟膏。



軟膏基剤の違い


日局 亜鉛華軟膏(酸化亜鉛軟膏)
白色軟膏

白色軟膏は、白色ワセリンにソルビタンセスキオレイン酸エステル(界面活性剤)とサラシミツロウを加えた基剤です。


吸水性が高く、稠度は高くありません。


まれに接触性皮膚炎の副作用を起こすことがあるので注意が必要です。



亜鉛華単軟膏
単軟膏

単軟膏は、ミツロウに植物油(ダイズ油やゴマ油など)を加えた基剤です。


軟膏に稠度を与える目的で使用されます。


皮膚への浸透性はよくありませんが皮膚保護作用をもっています。



使い分け



亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏の効能効果は同じです。

【効能又は効果】
・下記皮膚疾患の収れん・消炎・保護・緩和な防腐
外傷、熱傷、凍傷、湿疹・皮膚炎、肛門瘙痒症、白癬、面皰、癤、よう(癰)
・その他皮膚疾患によるびらん・潰瘍・湿潤面

界面活性剤が配合されている白色軟膏は容易に水分を吸収します。


そのため、滲出液の吸収や皮膚の乾燥を目的に、酸化亜鉛の含有量が多く、基剤に吸水能のある亜鉛華軟膏が選択されます。


一方、あまり乾燥させたくない場合には亜鉛華単軟膏が選ばれます。


酸化亜鉛には、抗炎症作用と共に、創面又は潰瘍面などを乾燥させる作用があるので、酸化亜鉛の含有量が多いと長期使用により皮膚の乾燥を招き、発赤、掻痒が再現してくるため、両薬剤共に注意が必要です。