歯を抜く時にワルファリンを中止する必要はありません


ワルファリンは血を固まりにくくする薬です。


脳卒中などの血栓塞栓症を防ぐ目的で投与されます。


従来はワルファリン投与を行っている患者さんに対しては、ワルファリンを数日間中断してから抜歯することが一般的でした。


しかし、抗凝固療法を中断することによる塞栓症や死亡のリスクは無視できないものです。


最近では、ワルファリン継続下での抜歯について多く報告されています。


ランダム化比較試験も実施され、ワルファリン継続下でも安全に抜歯ができることが示されています。

伊藤 弘人 ら,. ワーファリン服用患者の抜歯症例の検討 有病者歯科医療 Vol. 10(2001) No. 1. p23-27
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjmcp1992/10/1/10_1_23/_pdf

川瀬 ゆか ら,.抗血栓薬の維持量投与下での抜歯を優先させた際の対応と止血状態 有病者歯科医療 Vol. 10(2001) No. 2 p.97
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjmcp1992/10/2/10_2_97/_pdf

河野 博之 ら,.人工弁置換術後抗凝血薬療法中の外科的処置 抗凝血状態を維持する管理法の薦め.日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 21(1992) No. 3 .p245-249.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcvs1975/21/3/21_3_245/_pdf

新美 直哉 ら,. 抗凝固療法施行患者の抜歯における出血管理について.日本口腔外科学会雑誌 Vol. 46(2000) No. 7 .p.445-447.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoms1967/46/7/46_7_445/_pdf

歯科の3学会が合同で作成したガイドラインでは、抜歯前72時間以内にPT-INRが3.0以下であることを確認し、ワルファリン継続下で抜歯を行うことが推奨されています。


そして、術後には,食事の影響や併用する抗菌薬や鎮痛薬などの影響により、INR値の延長がみられることもあり十分に管理を行う必要があるとされています。


科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2010年版
http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/tooth/CPGs2010_toothextraction_anticoagulants.pdf



NOACと抜歯



ワルファリン以外の抗凝固薬のNOACについては、エビデンスが十分ではありませんが、現時点ではこれらも抜歯時に継続することが望ましいとされています。


抗凝固薬継続下での抜歯では、特別な局所止血を行わない場合止血するまでには2 〜12 時間、平均5.9時間を要するとの報告があります。


抗凝固薬を継続したまま抜歯しても約6 時間で止血しますが、少量とはいえ長時間出血が続くのは気持ちが良いものではありません。


これを避けるためにも積極的な止血処置が行われるべきと考えられます。