C型肝炎治療薬 ハーボニー配合錠(レジパスビル アセトン付加物/ソホスブビル)

※話題となっている価格に関しては触れていません。


ハーボニー配合錠は、レジパスビル 90 mg 及び ソホスブビル 400 mg を有効成分として含有する配合剤です。



レジパスビルは、C型肝炎ウイルスの複製に関わるNS5Aを阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制すると考えられています。



ソホスブビルは、平成27年3月にジェノタイプ2のC型肝炎ウイルス感染症治療薬として承認された「ソバルディ錠400mg」の有効成分です。



ソホスブビルの活性代謝物のウリジン三リン酸体はC型肝炎ウイルスの複製に関わるNS5Bポリメラーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑制すると考えられています。



海外では、C型肝炎ウイルス感染症治療薬としてで米国及び欧州を含め34カ国で承認されています。(2015年2月)



C型肝炎ウイルス感染者は、世界で約1億8000万人います。
Ghany MG et al, Diagnosis, management, and treatment of hepatitis C: an update. Hepatology, 49(4): 1335-1374, 2009


日本には130万~240万人いて、そのうち約70%がジェノタイプ1と推定されています。
Sievert W et al, A systematic review of hepatitis C virus epidemiology in Asia, Australia and Egypt. Liver Int, 31 Suppl 2: 61-80, 2011
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21651703



現在、日本のC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1)に対する治療薬として以下が承認されています。


インターフェロン製剤
リバビリン
NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤
 テラプレビル
 シメプレビル
 アスナプレビル
 バニプレビル
NS5A阻害剤
 ダクラタスビル


2015年7月レジパスビル アセトン付加物/ソホスブビル配合錠がC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1)に対する治療薬として新たに承認されました。


C型肝炎の治療とハーボニー錠の位置付け

ガイドラインでは、C型慢性肝炎患者のうち、



インターフェロン適格で未治療の高ウイルス量患者及びインターフェロン適格の前治療後再燃患者は、シメプレビル又はバニプレビルとペグインターフェロン/リバビリンとの3剤併用レジメンが推奨されています。

インターフェロン適格の前治療無効患者は、シメプレビル又はバニプレビルとペグインターフェロン/リバビリンとの3剤併用レジメン、若しくはダクラタスビル/アスナプレビル併用レジメンが推奨されています。

インターフェロン適格の前治療無効患者並びにインターフェロン不適格の未治療及び不耐容患者では、ダクラタスビル/アスナプレビル併用レジメンが推奨されています。



一方、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤とペグインターフェロン/リバビリンの3剤併用レジメンで既に治療された患者は、現時点で推奨されている治療法はありません。


また、代償性肝硬変患者に対しては、前治療歴及びインターフェロン適格性に応じて、ペグインターフェロン/リバビリン併用レジメン又はダクラタスビル/アスナプレビル併用レジメンが推奨されています。


NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤とペグインターフェロン/リバビリンの3剤併用レジメンは、インターフェロンやリバビリンの副作用などが問題となることがあります。



ダクラタスビル/アスナプレビル併用は、インターフェロン及びリバビリンを含まないレジメンなので副作用は大幅に軽減されています。



治療効果を示すSVR24率(投与終了24週間後までウイルス陰性化が持続した患者割合)も84.7%と高い値が示されています。



しかし、ジェノタイプ1a患者や投与開始前にNS5A領域の耐性変異を有する患者におけるSVR24率は低くなることが報告されています。



さらに肝機能障害等の有害事象も報告されています。



ハーボニー配合錠は、インターフェロン及びリバビリンを含まない12週間の治療法です。



投与開始前における患者因子及びウイルス因子を問わず、C型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変患者(ジェノタイプ1)に対して、高い有効性と安全性が示されています。


ハーボニーとアミオダロンの併用は注意




海外において、ソホスブビルとアミオダロン及びβ受容体遮断薬が併用されていた患者で心不整脈イベントが認められています。



これらの発現機序は現時点では不明ですが、米国添付文書では 、アミオダロンの併用に関しては推奨されない旨及び併用せざるを得ない場合は心モニタリングを旨注意喚起されています。



日本でも同様に注意喚起されています。

ハーボニー配合錠とアミオダロンの併用は可能な限り避けること。

ハーボニー配合錠とアミオダロンを併用する場合には、患者又はその家族に対して併用投与により徐脈等の重篤な不整脈が発現するリスクがあること等を十分説明し、不整脈の徴候又は症状が認められた場合には、速やかに担当医師に連絡するよう指導すること。

併用投与開始から少なくとも3日間は入院下で適切に心電図モニタリングを実施し、退院後少なくとも2週間は患者又はその家族等が心拍数を連日確認し、不整脈の徴候の発現等に注意して十分に観察し、異常が認められた場合には適切な対応を行うこと。

アミオダロンを長期間投与した際の血漿からの消失半減期は消失半減期は19~53日と極めて長いため、本剤の投与開始前にアミオダロンの投与を中止した患者に対しても、上記の対応を実施すること。


NS5A阻害剤での治療が無効だった患者への投与について

NS5A阻害剤を含む治療が無効であった患者に対するハーボニー配合錠投与は推奨できません。



ダクラタスビルを含む治療が無効だった患者の耐性変異を解析すると、NS5A領域の主な耐性変異に、ジェノタイプ1aではQ30E/R、L31M/V及びY93C/N、ジェノタイプ1bではL31I/M/V及びY93Hが検出されました。



非臨床試験で、これら変異に対してレジパスビルの抗ウイルス活性の低下が認められました。
McPhee F et al, Resistance Analysis of Hepatitis C Virus Genotype 1 Prior Treatment Null Responders Receiving Daclatasvir and Asunaprevir. Hepatology, 58(3): 902-911, 2013http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/hep.26388/pdf

Karino Y et al, Characterization of virologic escape in hepatitis C virus genotype 1b patients treated with the direct-acting antivirals daclatasvir and asunaprevir.J Hepatol, 58(4): 646-654, 2013
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23178977



レジパスビルとダクラタスビルで交差耐性が認められていることを踏まえると、NS5A阻害剤を含む治療が無効であった患者に対するハーボニー配合錠投与は推奨できないと考えられます。



NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤既治療患者への投与について


ソホスブビル又はレジパスビルとNS3/4Aプロテアーゼ阻害剤との間で交差耐性は認められていません。


NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤とペグインターフェロン/リバビリンの3剤併用レジメン施行後の患者に対しての国内外の臨床試験成績も芳しい結果が得られてい。



したがって、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤とペグインターフェロン/リバビリンの3剤併用レジメン施行後の患者に対し、ハーボニー配合錠投与による有効性は期待できると考えられます。





▽ハーボニー配合錠

[効能・効果]
セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善

[用法・用量]
通常、成人には1日1回1錠(レジパスビルとして90mg及びソホスブビルとして400mg)を12週間経口投与する。