薬剤服用歴管理指導料は断れるのか




答えは、断れません。

※ただし、算定要件を満たしていない場合は別です。


薬剤服用歴管理指導料の算定要件は
「患者ごとに作成した薬剤服用歴(薬のカルテ)の記録に基づいて、処方された薬剤の重複投薬、相互作用、薬物アレルギー等を確認したうえで、次に揚げる事項その他の事項を情報提供し、薬剤の服用に関し、基本的な説明を患者又はその家族等に行うこと」
とされています。

薬剤服用歴管理指導に係る行為は、患者さんの求めに応じて実施するものではありません。

薬剤情報提供や使用する薬剤に関する基本的な説明はもちろん、患者さんから重複投薬や薬物アレルギーなどに関する情報を収集した上での服薬説明は、患者さんが安全に医薬品を使用するうえで必要不可欠なことです。これは、薬剤師に課されている使命です。


薬剤師という立場から見て、患者さんが安全に医薬品を使用するために必要であると判断した場合には、薬剤師に求められている責務を果たすため、使用する薬剤に関する管理・指導を実施し、要件に示されている内容を満たしていれば薬剤服薬歴管理指導料を算定できます。

健康保険法に基づくルールや薬剤師法にも明確に規定されています。


薬剤師法 
(情報の提供及び指導) 
第二十五条の二  薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。

保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則 
(調剤の一般的方針) 
第八条  保険薬局において健康保険の調剤に従事する保険薬剤師(以下「保険薬剤師」という。)は、保険医等の交付した処方せんに基いて、患者の療養上妥当適切に調剤並びに薬学的管理及び指導を行わなければならない。 
2  保険薬剤師は、調剤を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない。 
3  保険薬剤師は、処方せんに記載された医薬品に係る後発医薬品が次条に規定する厚生労働大臣の定める医薬品である場合であつて、当該処方せんを発行した保険医等が後発医薬品への変更を認めているときは、患者に対して、後発医薬品に関する説明を適切に行わなければならない。この場合において、保険薬剤師は、後発医薬品を調剤するよう努めなければならない。 
(調剤録の記載) 
第十条  保険薬剤師は、患者の調剤を行つた場合には、遅滞なく、調剤録に当該調剤に関する必要な事項を記載しなければならない。


「薬剤服用歴管理指導」という名称なので、患者さんの立場からすると「自分で管理できる」と誤解をされることがあるかもしれません。

しかし、薬剤師が行っているのは「管理」だけではなく、患者さんに安心して医薬品を使用してもらうために必要不可欠な行為なのです。

薬剤服用歴管理指導料はそれらに対する対価なのです。


薬剤服用歴管理指導料を断るのではなく、患者さんの薬歴(薬のカルテ)が、きちんと記帳され運用されているかどうか、料金に見合った行為がなされているかどうかを問い合わせることが必要です。


薬剤師の中には、薬歴(薬のカルテ)の意義や目的、「かかりつけ薬局」、「かかりつけ薬剤師」を活用することの有効性など、薬剤師の業務を上手に説明できない人もいらっしゃいます。

そのような薬剤師にあたった場合には、温かい目で見守って、逆に患者さんから教えてあげてください。


薬局チェーンのツルハホールディングスの子会社「くすりの福太郎」は2015年2月10日、調剤薬局で大量の薬剤服用歴(薬歴)の未記載があったと発表しました。2013年3月の社内調査で約17万件の未記載がありました。