悪性黒色腫治療薬 ベムラフェニブ(ゼルボラフ錠)



悪性黒色腫は、メラニン産生細胞(メラノサイト)に由来する悪性腫瘍と考えられています。

メラノーマ(ほくろのがん) - 日本皮膚科学会
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa12/


悪性黒色腫の発生には、遺伝的要因や環境要因などが複雑に関与しています。
悪性黒色腫における「がん遺伝子」というのが、最近の研究でわかってきました。

悪性黒色腫の約50%の人はBRAF V600変異という遺伝子変異がおきていることがわかってきました。


Nature 2002; 417: 949-54
http://www.nature.com/nature/journal/v417/n6892/full/nature00766.html





細胞が増殖するとき、細胞の外から細胞の中にある核へ信号が伝えられます。
その信号を伝える中継の役目をしているのがBRAFというタンパク質です。

正常な細胞では、BRAFが信号の伝達をコントロールして、細胞外上に増えないようにしているのですが、BRAFを作る遺伝子に異常が出てしまうと、BRAFが正常にはたらかなくなってしまい、細胞の増殖が制御不能になります。こうして、細胞がガン化してしまいます。


ベムラフェニブは、BRAF V600 変異型のセリン/スレオニンキナーゼを阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。






ベムラフェニブを使える人の条件

ベムラフェニブは、BRAF V600 変異がなければ、効果はゼロなので、この変異のない人には使用することができません。毒にしかなりません。

BRAF V600 変異は病院で簡単に検査することができます。
癌組織からゲノムDNAを抽出し、BRAF V600 変異検出キットを用いてリアルタイムPCR法という測定方法により検出します。


手術によって切ることが出来る人は、手術を優先します。



安全性について

ベムラフェニブを使用した人に、新たに癌がみられたという報告があります。

癌の治療のために薬を飲んでいるのに、別の癌になってしまうというのは、なんとも言いがたいものがありますね。
早期に発見できれば、切除可能なものもあるので、皮膚の状態など注意しておく必要があります。

もし、有棘細胞癌(皮膚の扁平上皮癌)又は新たな原発性悪性黒色腫を早期に発見できた場合には、外科的切除等の適切な処置を行った上で、減量・休薬することなく治療の継続が可能です。


その他の副作用には
皮膚障害、過敏症、QT/QTc間隔延長、光線過敏症、肝機能障害、眼障害(ブドウ膜炎等)及び骨髄抑制があります。



その他の注意 空腹時にのみましょう。

この薬は脂によく馴染みます。そのため、食後に服用すると、食事の刺激で分泌された胆汁酸によって薬の溶解性が増し、消化管での吸収量が増加してしまいます。


食事の影響を避けるため、食事の 1 時間前から食後 2 時間までの間の服用は避けたほうが望ましいです。




[効能・効果]
BRAF 遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫

[用法・用量]
 通常、成人にはベムラフェニブとして 1 回 960mg を 1 日 2 回経口投与する。

[承認条件]
1. 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
2. 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

[警 告]
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

[禁 忌]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者