2014年10月15日水曜日

思春期女性の続発性無月経におけるホルモン製剤の使い方




楢原 久司,宮川 勇生(2000)思春期の続発無月経,日産婦誌52巻1号


これまであった月経が3カ月以上みられない状態を続発無月経といいます。
ただし、妊娠などの生理的無月経は除きます。


思春期の月経不順はダイエットなどの体重減少によるものが最も多い原因です。
ストレスや、過度な運動、多嚢胞性卵巣症候群によるものも
よくみられる一因です。


黄体ホルモン製剤単独投与で消退出血をみるものを第1度無月経、
黄体ホルモン製剤単独では消退出血が起きず、エストロゲンを併用してはじめて
消退出血が得られるものを第2度無月経といいます。



プロゲストーゲン負荷テスト

診断の方法としてプロゲストーゲン負荷テストがあります。

まず、黄体ホルモン製剤を内服します。

処方例:
デュファストン錠5mg 1回1錠 1日2回食後 5~7日間


5~7日飲み続け、生理のような出血(消退出血)があれば
第1度無月経と判定されます。



プロゲストーゲン負荷テストで消退出血がみられない場合は、
エストロゲン-プロゲストーゲン負荷テストを行います。

エストロゲン-プロゲストーゲン負荷テストで消退出血があれば
第2度無月経と診断されます。


第2度無月経はエストロゲンの基礎的な分泌もない重症の無月経です。


第1度無月経の薬物療法

第1度無月経では、子宮内膜は持続的なエストロゲン刺激下に置かれています。
一方、黄体ホルモンの刺激は欠いた状態となっています。
将来的に子宮内膜増殖症や子宮内膜癌の発生リスクとなるので

子宮内膜保護の目的で周期的な消退出血を
起こさせる必要があります。

ホルムストローム療法と呼ばれている方法を行います。
プロゲストーゲン負荷テストでの消退出血から21日の周期で
黄体ホルモン製剤が投与されます。

45日の周期で行うものもあります。


三宅婦人科内科医院




第2度無月経の薬物療法

第2度無月経に対しては、エストロゲンと黄体ホルモンの併用による
カウフマン療法を行います。

Rp.プレマリン錠0.625mg 1回1~2錠 1日1~2回食後 21日間 
  デュファストン5mg 1回1錠 1日2回食後 12日間を周期の後半に併用


Rp.エストラーナテープ0.72mg 2日毎に貼替え 21日間 
  デュファストン5mg 1回1錠 1日2回食後 12日間を周期の後半に併用


また、カウフマン療法の代わりにルナベル配合錠やヤーズ配合錠などの
低容量エストロゲン・プロゲスチン配合薬を用いることもあります。


カウフマン療法を3クール程度行った後、
プロゲストーゲン負荷テストを行い、無月経の程度が改善したかどうか確かめます。
改善が見られればより軽い治療法へ、改善していなければカウフマン療法を継続します。





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