2014年6月12日木曜日

透析患者さんとワルファリン



心房細動を有する末期腎不全患者、透析患者さんにおける抗凝固療法について
NOAC(ダビガトラン、エドキサバン、アピキサバン、リバーロキサバン)はいずれも
透析患者さんには使用禁忌です。
ワルファリンしか今のところ選択肢がありません。

しかし、日本透析医学会の
「血液透析患者に於ける心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」においては、
透析患者ではワルファリン投与は原則禁忌であると明記されています。

つまり、現状は
NOACもワルファリンも禁忌となっています。


心房細動合併の透析患者さんの脳塞栓をいかにして防ぐかに関しては、
データがほとんどなく、一定の見解が得られていません。


透析患者さんは、元々の心血管リスクが非常に高く、
その中で心房細動から生じる脳塞栓症の占めるウェイトは
必ずしも大きくは無いと考えられています。

そのような考えのもと、予防効果が不明で出血リスクのあるワルファリンを
使用するかどうかは、リスクと効果を十分に患者さんに理解してもらった上で
決めることが重要だと思われます。


透析患者さんの心房細動と通常の心房細動のちがい。

ワルファリンが脳塞栓予防に有効かどうか不明
ワルファリンによる抗凝固療法が透析患者さんにおいて脳塞栓を減らすかどうか確かなデータはありません。むしろ、出血リスクが高まり予後をかえって悪くするという観察研究も報告されています。


CHADS2スコアが通用するかわからない。。
CHADS2スコアの根拠となった患者集団には透析患者さんが含まれていません。当然のこと、透析患者さんにこのスコアが通用するかどうか不明です。


心房細動だけが脳卒中のリスクではない
透析患者さんでは心房内血栓に由来する心原性脳塞栓以外の原因による脳梗塞も多いと考えられています。


「血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」2011(社団法人 日本透析医学会)