2012年4月5日木曜日

アスピリン喘息患者さんに安全な解熱鎮痛薬は何?



アスピリン喘息はアスピリンに限らず、すべての非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)でも誘発されます。この仕組は通常のアレルギー反応ではありません。アラキドン酸代謝カスケードの中でNSIDsによるシクロオキシゲナーゼ(COX)の阻害の結果、COXとは別の経路のリポキシゲナーゼによる代謝経路に流れることによってロイコトリエン産生が増加するために発作が誘導されると考えられています。




アセトアミノフェンは歴史の長い解熱鎮痛薬ですが、その作用機序はあまりよくわかっていません。2011年変形性関節症と4000mg/日までの増量が保険適応になりました。これで、慢性疼痛の治療薬として改めて注目されるようになりました。海外において,アセトアミノフェンは鎮痛剤の標準薬として広く活用されています。例えば、WHO はアセトアミノフェンをエッセンシャルドラッグとし、各国の様々なガイドラインも鎮痛の薬物療法の第一選択薬としています。




アセトアミノフェンはCOXの阻害活性はわずかで、NSAIDsほど強くはありません。詳細は明らかになっていませんが、中枢性に鎮痛作用がはたらいているものと考えられています。そのため、論理的にはアスピリン喘息を引き起こすとは考えにくいです。しかし、アセトアミノフェンの添付文書には禁忌とされています。




アセトアミノフェンがアスピリン喘息患者に喘息を誘発する頻度と重症度はNSAIDsに比べれば低いといえます。しかし、全く誘発しないかとは言えないようです。




Szczeklik A, Gryglewski RJ, Czerniawska-Mysik G. Clinical patterns of hypersensitivity to nonsteroidal anti-inflammatory drugs and their pathogenesis. J Allergy Clin Immunol. 1977 Nov;60(5):276–284.




つまり、アスピリン喘息歴のある患者さんが解熱鎮痛薬を必要とする場合、
たとえアセトアミノフェンであってもまずは少量から試みるなどの慎重な対応が必要になるでしょう。また、アセトアミノフェンをなんの目的で使うかについても考える必要があります。例えば、鎮痛目的の場合、最近では慢性疼痛に対する薬剤は非麻薬性のオピオイドなどを含めてアラキドン酸カスケードに関係しない鎮痛薬が使えるようになってきて、以前よりは薬剤選択の幅は広がっています。

アスピリン喘息患者さんに対する解熱を目的とする場合、本来の原因療法を前提とするのは言うまでもありませんが、どうしても解熱が必要な場合にはアセトアミノフェンの少量投与から試みるべきでしょう。




選択的COX-2阻害薬であるセレコキシブはアスピリン喘息患者の喘息誘発を起こしにくいとされる研究報告があります。




Woessner KM, Simon RA, Stevenson DD. The safety of celecoxib in patients with aspirin-sensitive asthma. Arthritis Rheum 2002;46:2201–2206.




もちろん、セレコキシブもアセトアミノフェン同様に添付文書にはアスピリン喘息患者に対して禁忌となっています。アセトアミノフェン同様慎重な対応が必要となります。




セレコキシブとアセトアミノフェンのどちらがアスピリン喘息患者さんに対して安全に使用できるかについては明らかになってはいません。



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